時計の世界に「既成概念を打ち破る存在」があるとすれば、フランク・ミュラーはその筆頭である。ヴァンガード レーシング スケルトン V45SCDT SQT RCGは、ブランドの革新精神を最もダイナミックに表現した、現代のマスターピースだ。レーシングの世界からインスピレーションを得たこの時計は、伝統的な時計製造の枠を超え、機械工学とモータースポーツの美学を融合させている。
何よりもまず目を引くのは、その独特なケースフォルムである。ヴァンガード・コレクションの特徴であるトノー型(樽型)ケースは、手首の動きに沿うように設計され、53.7mm x 44mmという堂々たるサイズながら、快適な装着感を実現している。ステンレススチール製のケース表面にはサテン仕上げとポリッシュ仕上げが絶妙に組み合わされ、光の加減で複雑な陰影を織りなす。
この時計の真髄は、そのスケルトン(透明)ダイヤルにある。機械式ムーブメントの複雑な機構が惜しみなく披露され、その内部構造そのものが芸術作品へと昇華されている。ダイヤル上にはフランク・ミュラーらしい大きなアラビア数字の時標が浮かび上がり、レーシングを彷彿とさせるスポーティなアクセントが随所に配されている。中央に配された秒針と、3時位置の日付表示窓が、機能美と視認性を両立させている。
心臓部には、自社製の自動巻きクロノグラフムーブメントが搭載され、約42時間のパワーリザーブを提供する。サファイアクリスタルのシースルーバックからは、その精緻な仕上げを鑑賞することができる。ブラックのラバーストラップは、ケースの曲線に自然と調和し、スポーティでありながら上質な肌触りを提供する。
V45SCDT SQT RCGは、単なる時計ではない。それは、走ることに情熱を注ぐすべての人々に捧げられた、身に着ける彫刻作品である。レースへの憧憬と、卓越した時計技術が出会った瞬間——それが、この時計の真の物語なのである。 |