1904年、ルイ・カルティエは友人でありブラジルの航空界の英雄アルベルト・サントス=デュモンの願いを叶えた。飛行中でも時刻を確認できる腕時計の製作である。こうして、世界初の現代的な意味での腕時計が誕生し、スクエアケースと露出したスクリューという独創的なデザインは、時計史に燦然と輝くアイコンとなった。Ref.WSSA0017は、その伝統を受け継ぎながら、クロノグラフという複雑機構と現代の素材技術を融合させた、サントスコレクションの大胆な進化形である。
43.3mmのステンレススチールケースに、ADLC(アモルファス・ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティングを施したブラックのベゼルの組み合わせは、クラシックなサントスのイメージにモダンで引き締まった印象を与える。このマットな質感のベゼルは、視覚的なアクセントであると同時に、卓越した耐傷性をもたらす実用的な装備である。八角形のリューズにはカット加工を施したシンセティックスピネルが象嵌され、カルティエらしい気品を添える。
オパリンシルバーの文字盤には、 パネライコピーブラックのローマ数字と、夜光処理を施した剣型の針が浮かび上がる。3つのクロノグラフカウンターは視認性を損なわない絶妙なバランスで配置され、6時位置には日付表示窓が控えめに設けられている。この複雑な構成でありながら、全体として纏まりのある美しさを失わないところに、カルティエの確かなデザイン力が表れている。
この時計の心臓部には、カルティエ自社製の自動巻きクロノグラフムーブメント、キャリバー1904 CH MCが搭載されている。コラムホイールとバーチカルクラッチを備えた本格的なこのムーブメントは、クロノグラフ操作の滑らかさと正確性を追求している。2つの香箱により48時間のパワーリザーブを確保し、日常使いの実用性も十分だ。
特筆すべきは、カルティエ特許の「QuickSwitch」システムを備えた交換可能なストラップである。ブラックラバーストラップとブラックアリゲーターレザーストラップの2本が付属し、工具なしで瞬時に交換できる。ラバーストラップはケースと一体化したスポーティーな印象を与え、レザーストラップはよりドレッシーな表情を引き出す。100mの防水性能も備え、まさにあらゆるシーンに対応する万能性を誇る。
WSSA0017は、空へのロマンを秘めたオリジナルの精神を受け継ぎながら、現代のライフスタイルに完璧に適応するよう進化を遂げた。それは、時計である前に、身に着ける者の個性と冒険心を静かに語る、方形の翼なのである。 |