1860年フィレンツェ創業のパネライは、イタリア海軍の特殊潜水部隊のために極限の道具を生み出してきた。その軍事的遺産に加え、海洋スポーツとの深い結びつきもブランドの重要なアイデンティティとなっている。2017年に発表されたPAM00653は、パネライが主催する国際的なクラシックヨットレース「パネライ クラシック ヨット チャレンジ(PCYC)」へのオマージュを捧げた特別な一本である 。
44mmのAISI 316Lステンレススチールケースは、ポリッシュ仕上げのケースとサテン仕上げの王冠プロテクターのコントラストが美しい 。この パネライコピー「ルミノール1950」ケースは、初期のパネライのクッション型フォルムと特許取得の王冠保護装置を併せ持つ、過渡期のデザインを現代に伝えている 。厚さは約18.5mmありながら、短く湾曲したラグのおかげで装着感は驚くほど快適である 。
この時計の最大の魅力は、その漆黒の文字盤にある。艶消しブラックのダイアルには、温かみのあるゴールドの針とベージュのアラビア数字が浮かび上がり、1940年代のクロノグラフを思わせるヴィンテージテイストを醸し出している 。3時位置には12時間積算計、9時位置にはスモールセコンドが配され、中央にはクロノグラフ秒針と分針が重なる。特筆すべきは、内側のフランジに刻まれた「ノット(海里)単位のタキメータースケール」である 。これは帆船の速度計算のための実用的な装備であり、PCYCモデルの所以でもある。
心臓部に搭載されるのは、パネライ自社製の自動巻きキャリバーP.9100である。コラムホイールと垂直クラッチを備えた統合型クロノグラフムーブメントは、8時位置のプッシャーを押すだけで針が瞬時にゼロへ戻り再計測を開始する「フライバック機能」を搭載している 。302の部品から構成され、72時間(3日間)という長期パワーリザーブを誇る 。ケースバックには優雅なクラシックヨットのレリーフが刻まれ、密閉式ながらその存在を主張している 。
レザーストラップにはエイジング加工が施され、使い込むほどに味わい深いパティーナを醸成する。ラバーストラップも付属し、海洋活動にも対応する。100m防水性能は、真のマリンウォッチとしての実力を裏付けている。
PAM00653は、帆船レースの伝統と現代のクロノグラフ技術が融合した、パネライの海洋遺産が凝縮された一本である。 |