フランク・ミュラーは、その独創的なトノーケースで知られる高級時計ブランドであり、特にトゥールビヨン機構の開発で名高い。同社は、ムーブメントと文字盤の前面にトゥールビヨンを配置する先駆者であり、複数軸のトゥールビヨンや、腕時計用として世界最大のトゥールビヨンなど、数々の記録を打ち立ててきた。その技術の粋を集めた「ヴァンガード グラビティ ヨッティング」は、海洋世界にインスパイアされた特別なモデルである。
このモデルの最大の特徴は、文字盤の半分以上を占める直径21.2mmという超大型のトゥールビヨンにある。そのケージは、伝統的な形状ではなく、航海用のコンパスを思わせる「ローズ・コンパス」の形にデザインされており、外側の分目盛りも方角を示す風配図(コンパスローズ)に置き換えられている。この大胆な意匠が、時計全体に明確なマリン・テーマを与えている。
ケースは、フランク・ミュラーの代名詞であるトノー型(樽型)で、サイズは44mm×53.7mm、厚さ15.1mmという堂々たる存在感を持つ。この大きなケースは、巨大なトゥールビヨンを収めるためのキャンバスであり、その曲線美が腕に自然と馴染む。素材にはステンレススチールまたは18Kピンクゴールドが採用され、ディープブルーのアクセントが、海底の世界を彷彿とさせる。
心臓部には、自社製の手巻きムーブメント「キャリバーFM CS-03 SQ」を搭載する。このスケルトン化されたムーブメントは、5日間(約120時間)という驚異的なパワーリザーブを誇る。その心臓部の鼓動は、サファイアクリスタルのケースバックからも鑑賞することができる。防水性能は30mを備え、日常使いでの安心感も提供する。
ヴァンガード グラビティ ヨッティング トゥールビヨンは、高度な時計技術を、海へのロマンと融合させた、現代のマリンクロノグラフの頂点と言えるだろう。その独創的なデザインは、所有する喜びを新たな次元へと導く。 |