1904年、ルイ・カルティエは友人でありブラジルの航空界の英雄アルベルト・サントス=デュモンの願いを叶えた。飛行中でも時刻を確認できる腕時計の製作である。こうして、世界初の現代的な意味での腕時計が誕生し、スクエアケースと露出したスクリューという独創的なデザインは、時計史に燦然と輝くアイコンとなった。Ref.W20106X8は、その伝統を受け継ぐ「サントス100」コレクションの一本であり、航空時代のロマンを現代に伝える傑作である。
44.2mm×35.6mmのステンレススチールケースは、厚さわずか10.5mmに抑えられ、存在感とエレガントな装着感を両立している。特徴的な八角形のベゼルには、8本のスクリューが配され、パリのヴォージュ広場にインスパイアされたこのデザインは、一目でカルティエと識別できる気品を漂わせる。ブルーサファイアのカボションをあしらったリューズも、ブランドの伝統を静かに物語っている。
シルバーの文字盤には、ブラックのローマ数字がくっきりと浮かび上がる。ブルーの剣型針は夜光処理が施され、暗所でも確かな視認性を確保する。12時位置の「CARTIER」のサインと、7時位置の小さな「VII」に隠されたブランド名の刻印は、所有者だけが知る小さな秘密である。
心臓部に搭載されるのは、自動巻きキャリバー076である。ETA 2671をベースに開発されたこのムーブメントは、25石、28,800振動/時、約38時間のパワーリザーブを誇る。クロノメーター認定には至らないものの、確かな精度と信頼性を提供する。
100mの防水性能は、日常使いにおける十分な実用性を保証する。ブラックのアリゲーターストラップは、フォールディングバックルで確実に固定される。中サイズ(ミディアム)のケースは、男性にも女性にもフィットするユニバーサルなデザインである。
2000年代から2010年代にかけて製造されたこのモデルは、現在ではプレミアム中古市場で高い人気を誇る。サントス100 MM W20106X8は、時を計る道具である前に、空への夢と地上のエレガンスを結ぶ、時を超えた方形の翼なのである。 |