「ムーンウォッチ」の名で知られるオメガ スピードマスター。その伝説は、1957年に発表されたオリジナルモデルから始まった。この「スピードマスター 57 クロノグラフ 331.20.42.51.01.002」は、その歴史の源流に立ち返り、初代モデルの魂を現代の技術で蘇らせた、本質を突く一本である。
この時計の最大の魅力は、その「オリジナルへの深いリスペクト」と「現代的な完成度」の融合にある。ケースは、初代モデルを彷彿とさせるストレートラグと、40.5mmという現代的なサイズを両立。当時を思わせる細身のプッシュボタンや、ブラックの「ドットオーバー90」目盛りが刻まれたタキメーターベゼルが、ヴィンテージの息吹を感じさせる。
文字盤は、初代モデルにインスピレーションを得た「サンレイ」仕上げのブルー。光の加減で複雑に表情を変えるその色は、深遠なる宇宙の神秘を思わせる。対照的に配置されたシルバーのサブダイヤルは、驚くほど高い視認性を実現している。ブロードアロー針と、当時と同じ「ナロースティック」インダイヤルは、歴史的なデザインを忠実に継承する。
しかし、その心臓部は紛れもなく現代の技術の結晶である。オメガ独自の「コーアクシャル脱進機」を搭載したマスタークロノメーター認定ムーブメント「キャリバー9906」を内蔵。最高峰の精度と耐磁性、そして60時間のパワーリサーブを備える。
オメガ スピードマスター 57は、単なるレトロスタイルの復刻ではない。それは、伝説のデザインに、現代の最高峰技術という新たな命を吹き込んだ、過去と現在の対話そのものなのである。 |