「自動車レースの興奮と危険性をその腕元へ」。1963年、ジャック・ホイヤーによって誕生したタグホイヤーの「カレラ」は、モータースポーツの熱狂と深く結びついた、ブランドを代表するレーシングクロノグラフである。モデル「CBK2110.FC6266」は、その不朽のレーシングスピリットを、クラシカルで洗練されたデザインと高性能なキャリバー16ムーブメントで現代に伝える一本だ。
その最大の魅力は、初代カレラのデザインDNAを継承した、驚くほど清潔で視認性の高い文字盤にある。シルバーの「azurage」模様が施された文字盤は、光の加減で微妙な表情の変化を見せ、深みと立体感を演出する。3時と9時位置に配置されたシルバーの積算計は、1960年代のレーシングクロノグラフの古典的なレイアウトを忠実に再現し、完璧なバランスとビンテージの趣を感じさせる。
41mmのステンレススチールケースは、磨きとブラシ仕上げが組み合わされ、力強さと上品さを両立。ラグからラグへの流れるようなラインは、あらゆる袖口にすっきりと収まる普遍的なプロポーションを実現している。ブラウンのクロコダイルレザーストラップは、このスポーティでありながらエレガントな時計に温もりと高級感を添え、フォーマルからカジュアルまで幅広いシーンに対応する汎用性の高さが魅力である。
この時計の真価を支えるのは、その名の由来ともなった「キャリバー16」ムーブメントだ。確かな信頼性と実績を持つ自動巻きクロノグラフムーブメントを基にし、時、分、小秒、12時間計、30分計、日付表示という実用的な機能を提供する。その心臓部は、レーシングの世界が要求する精度とタフネスを確かに内包している。
タグホイヤー カレラ キャリバー16は、単なる時計ではない。それは、モータースポーツの熱い歴史と、時代を超越した洗練された美学が見事に融合した結晶なのである。腕に纏う者は、カレラの歩んだレーシングヒストリーそのものと、飽きの来ないクラシカルなデザインの両方を手に入れるのである。 |