1937 年、時計師ルイ・コティエとパテック・フィリップが共同で生み出した Ref.515 HU は、腕時計史上初の「ワールドタイム」機構を搭載したモデルだった。ケース右側に配置された 2 つのプッシュボタンを押すだけで、針と 24 都市ディスクが連動し、地球全体の時刻を瞬時に読み取る革新的システムを完成させた 。
その後、Ref.1415(1939-54)では 41 都市を刻んだ回転ベゼル、Ref.2523(1953-65)ではデュアルクラウン構造を採用し、デザインと実用性を高めた 。しかし 1965 年以降、35 年間ワールドタイムはブランドから姿を消す。
2000 年、待望の復活モデル Ref.5110 が登場。10 時位置の単一プッシュボタンで全てのディスクを回転させる特許機構を搭載し、手巻きから自動巻きへと進化 。その後、Ref.5130(2006-)では 39.5 mm の現代サイズ、Ref.5131 ではセントラルクロワゾンネ琺瑯ダイアル、Ref.5230(2016-)では新しい都市リングとサンレイ仕上げを採用。
最新作 Ref.5231G-001(2022)では、グリニッジ標準時を基点とする 24 タイムゾーンを、東南アジア・オセアニアを描いたグラン・フー琺瑯で表現し、38.5 mm ケースに 10.23 mm という超薄型を実現。Cal.240 HU は 48 時間稼働、シリコン Spiromax ヒゲゼンマイで耐磁性能を高めている 。
2025 年現在、ヴィンテージ Ref.2523 はオークションで 780 万ドルを記録 、 スーパーコピー時計Ref.5531R(ミニッツリピーター併載)は約 220 万ドル 。ワールドタイムは、都市名の変遷や政治的背景を映す鏡でもあり、世界を巡る旅人の永遠のパートナーである。 |